六駅分のエトセトラ

家からオフィスまでの六駅で綴る何らかの文

生活の集合体

 

他人の生活を垣間見るのが好きだ。

 

…変態ではない。

 

例えば、夕方の帰り道。

 

ふわりと香るカレーの香り。

 

シャワーの音。

 

ベランダに顔を出し、洗濯物を取り込む人。

 

生活が、街のあちこちに点在している。

 

風景として捉えている家々は、そのひとつひとつが「生活」を静かに包み込んでいるのだ。

 

あのタワーマンションを見ろ。

 

何十、何百と無数に連なる窓のひとつひとつに、家族があり、ドラマがあり、生活があるのだ。

 

街は無数の生活の集合体である。

 

夕方の帰り道、そのことを実感する時。

 

集合体の一部であることに、不思議な安心感を覚えるのである。

 

…どうだ、変態ではなかっただろう。

 

まあ、男はみんな変態だし、さらに言えば人間はみな変態だと思っているのだが、その話はまた別の機会にすることとしよう。