六駅分のエトセトラ

家からオフィスまでの六駅で綴る何らかの文

大熊猫

 

先日、パンダの赤ちゃんが生まれたらしい。

 

5年ぶりの嬉しいニュースに、上野が沸いた。

 

お母さんの乳首を吸っただけで大騒ぎである。

 

人々はパンダが大好きらしい。

 

ところで、パンダに関する通説としてこんなものがある。

 

「パンダは人間がいないと絶滅する」という話だ。

 

真偽はひとまず置いておくとして、確かに、パンダは見るからに生きる力が弱い。

 

そもそも、主食が「笹」とはどういうことなのだ。

 

笹、世界栄養少ない物体ランキングで10年連続一ケタ入賞くらいしていそうである。

 

他の草食動物との住み分けをするためなのだろうが、もう少しマシなものがあったような気がする。

 

そして、笹などを主食に選んでしまった結果、エネルギー効率が極めて悪く、一日中食べまくらないと生命を維持できないらしい。

 

確かに、水墨画に描かれるような中国の奥地には笹が生い茂っている。

 

一日中でも一年中でもいくらでも食べまくれるだろう。

 

これほど魅力のない食べ放題が、この世に他にあるだろうか。

 

加えて、赤ちゃんが生まれるとニュースになるほどの繁殖効率の悪さ。

 

パンダは、確かに人間がいなければ絶滅しそうである。

 

ところで、パンダはなぜ絶滅を免れ、人間の保護を受けているのだろうか。

 

それはひとえに、パンダがかわいいからである。

 

もしパンダが、ずんぐりむっくりで白黒ツートンカラーというかわいらしい外見ではなく、牛乳を拭いたボロ雑巾のような見た目をしていたとしたらどうだろうか。

 

人間はパンダを保護しなかっただろう。

 

中国の奥地で笹の陰に隠れ、それこそボロ雑巾のようにひっそりと絶滅していたはずだ。

 

パンダは、かわいさによって生き残った種であると言えそうである。

 

ただ、保護されながら生きるのがパンダにとって本当に幸せなのかはわからない。

 

檻の中で生まれた命が、健やかに育つことを祈りたい。