六駅分のエトセトラ

家からオフィスまでの六駅で綴る何らかの文

梅雨に歌えば

朝からシトシト雨が降り、はっきりしないぐずついた天気だ。ようやく梅雨本番、といった様相である。

 

今年の梅雨は、あまりに雨が降らないせいで気象庁が一度出した梅雨入り宣言を撤回するという異例の梅雨だった。梅雨というのは、洗濯物は乾かないわ、コピー機は詰まるわ、週末のお出かけも億劫になるわでろくなことがないものだが、いざ空梅雨が来てみるとなんとなく落ち着かないもので、人間というのは勝手な生き物であることだなあと思わされる。

 

そんな嬉しいような鬱陶しいような雨だが、あの木はきっと文句なしに喜んでいることだろう。あじさいだ。青にピンクに紫に、色とりどりに咲き誇るあじさいは、雨に濡れてこそ本来の美しさを発揮する。きっと連日の雨に、全身の葉緑体をざわつかせて喜んでいることだろう。

 

さてこの美しいあじさいだが、実は毒があるらしい。それもまあまあ強めの毒らしく、毎年料理の飾り付けに葉を使ったせいで食中毒になるケースが報告されるそうだ。庭木にもよく使われる上に、葉の大きさも手頃で見た目が良いので、小洒落た料理にスッと置けば、食卓にちょっとした華を添えてくれそうだが絶対ダメである。お腹壊す。お腹壊したくなくない?

 

また、あじさいは土壌のpHによって花の色が変わるという。酸性だと赤っぽく、アルカリ性だと青っぽくなるらしい。色が様々に変わることから、「七変化」の異名を持つそうだ。他人のものは優れて見えてしまうということわざで「隣の花は赤い」と言うが、隣の家の庭にサンポールを撒きまくればもっと赤くなることだろう。羨ましいなあ。

 

というわけで、雨に濡れて美しく咲くあじさいという花、なかなかどうしてくせ者である。だいたい我々があじさいの花びらだと思っている部分はいわゆる"がく"であって花びらではなかったりする。本当の花は真ん中にあるちっちゃいつぶつぶだ。アゲハチョウの幼虫の目がめっちゃちっちゃいのと似たものを感じる。キャタピーの目の位置、あれ間違ってるよね。

 

まあ、そもそも雨が好きな時点で変わっているので、あじさいが色々くせ者なのは仕方がないことなのかも知れない。と思ったけど普通植物って雨好きなんじゃない?あじさいって本当に雨好きなの?雨少ないところだと育たないの?

 

わかんないけど早く各地のダムに水が溜まるといいなあ。