六駅分のエトセトラ

家からオフィスまでの六駅で綴る何らかの文

かき氷は食べた。

夏は特殊な季節だと思う。他の季節に比べて、あまりにも明確にブランディングされているのだ。

 

例えば、夏だな!!と感じさせる風物詩は多い。スイカにかき氷、流しそうめん、ラムネ。打ち上げ花火、海水浴、キャンプに肝試し。

 

毎年これはやっておかないと夏が始まらない気がしてくるし、これらを食べたり、やっている時の、「あーーー!!夏だなーーーーー!!!!!」感には相当なものがある。

 

一方で冬はどうだろう。せいぜい鍋くらいのものである。雪だるまはまごう事なき冬の風物詩だろうが、雪だるまを作っても「あー!冬だなーーー!!おれは今冬をやっている!!!!!!」とはならないだろう。

 

これは春や秋にも言えることだと思う。夏うたの多さに比べて、秋うたの少なさたるや。「小さい秋見つけた」と「秋桜」くらいしか思いつかないではないか。

 

このテンションの差は何なのだろう。同じ季節なのに、夏はいささか優遇されすぎではないだろうか。

 

ということで、なぜ夏はこんな一人勝ち状態にあるのか。それは結局のところ、暑いからだと思う。

 

基本的に、動物は低音に弱い。暖かいと行動が活発になり、寒いと不活発になるのは自然の摂理だ。真冬のクソ寒い時に外に飛び出して「冬だーーーーー!!!!!!」と騒ぐことはしないだろう。コタツに潜ってみかんを食べるのが冬なのである。

 

一方、夏はこうだ。はるか遠くにすっと線を引いたような水平線から、もくもく湧き立つ入道雲、そして太陽に照らされて白く光る砂浜を見た時は、ビーサンを脱ぎ捨てて「海だーーーーー!!!!!!」と叫びながら走り出すのが人間というものである。

 

まあ、結局のところ、夏は暑いので、血圧が上がり、何となくテンションが上がる。そういうことなのだと思う。人間は、意外とシンプルな生き物であった。

 

今年はまだ海に行っていない。