六駅分のエトセトラ

家からオフィスまでの六駅で綴る何らかの文

嫌に染み付く蝉の声

蝉が鳴き始めた。

 

蝉の声は、夏の風物詩だ。今年もいよいよ、本格的に夏が来た。

 

ところで、蝉はなぜ鳴くのか。

 

これは有名な話だが、鳴くのはオスだけで、彼らはメスを呼ぶためにミンミンミンミン鳴いている。

 

ミンミンミンミン鳴くのはつまりは交尾がしたいわけで、言うなれば「セックスがしたい!セックスがしたい!」と叫んでいるわけである。

 

何ともアレな話である。

 

うだるような真夏の昼下がりにジージージージー耳障りなあのアブラゼミの大合唱も、捕まえると体をくねらせてミンミンミンミンやかましく騒ぐミンミンゼミの叫びも、まだ涼しい朝方の時間に山の方から遠くにカナカナ聞こえるヒグラシの切ない声も、全部「セックスがしたい!」なのである。

 

蝉、すごいセックスしたがる。

 

まあ、蝉の交尾は純粋に子孫を残すために行う神聖な儀式のようなものであるから、快楽のために避妊までして及ぶ人間の行為と同列に扱うのは間違ってはいるのだが、日本の夏を代表する風物詩が生殖行為に結び付いているのは紛れもない事実である。

 

言ってしまえば、心持ちと過程が異なるだけで、ハチ公前でナンパをする性欲丸出しのクソ大学生と本質的には一緒なのだ。

 

そう思うと、風流な蝉の声も、「ねえ、スタバの新作飲みたくない?」「すみません、109ってどっちでしたっけ?あ、あっちか(笑)」などとあの手この手でホテルに連れ込もうとする、害悪クソチャラ大学生の売り文句に聞こえてくる。

 

楽しい夏になりそうだ。